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07/20/13:45  その案件は本気でとりに行くべきかどうか?

ある日会社にシステム開発を依頼したいという一本の電話がかかってきました。
案件にもいろんな種類があります。
電話を受けたあなたの頭にはこんな疑問が湧いていることでしょう。

その案件は本気でとりに行くべきかどうか?

まず、大前提を書いておきます。

答えは

「はい。本気でとりに行くべきです。当たり前です。
せっかく弊社に興味をもってご連絡いただいた貴重なお客様です。
なんとかして気持ちに応える(結果として受注する)ための最大限の努力をするのは当たり前です。」

さあ、以上の当たり前の結論を先に書いておいて、ここから仮の話をいたします。

もし、超売れっ子になり、お客様が長蛇の列をなすようになったら、その時はどうしても選択しなければなりません。
その時どのように判断すれば良いでしょうか?

今日はファイブフォース分析というのをご紹介します。
マイケル・E・ポーターの名著「競争の戦略」で紹介されている分析方法ですね。
本来は産業構造を分析して、その分野に進出するかどうかなどを判断するためのものです。

規模は全然違いますが、それを案件を取りに行くべきかどうかという問題に応用してみます。

ファイブフォースとは以下の5つを指します。
記憶を頼りに書くので、正確な表現ではないかもしれません。

1.新規参入者の脅威
2.代替品の脅威
3.買い手の交渉力
4.売り手の交渉力
5.競合他社との関係

このうち上の2つは外部要因、下の3つは内部要因とか言われます。

さて、ここで具体例を挙げて考えてみましょう。
ECサイトをフルスクラッチで構築したいという案件だったとします。

1.新規参入者の脅威

まず、この案件にたいする参入障壁がどの程度か考えます。
ECサイトであれば、カート機能など少なくとも動的なページを出力する必要があります。
よって、プログラムを扱えるかどうか、という参入障壁があり、静的なページしか作れないWebコーダーなどは参入できません。
また、クレジットカードの決済が必須であれば、何かしらの方法で決済の仕組みを取り込める技術が必要です。
逆に、発注はメールフォームでOKとかであれば、参入障壁は下がりますね。

2.代替品の脅威

今回、ECサイトをフルスクラッチで構築したいということですが、場合によっては、楽天に出店するだけだったり、そもそもオークションサイトなど既存のサービスの利用で目的を達成できる可能性もあります。そういった代替品について考えてみます。
また、フルスクラッチではなくオープンソースのインストールだけでECサイトを作る業者のサービスも代替品と言えます。

3.買い手の競争力

例えば、クライアントが何度もECサイトを立ち上げている経験やITリテラシーがあり、また、東京などの大都会で、多数の業者から見積もりをとれる状況などあれであれば、買い手の交渉力は高く、弊社としては高い単価では通しにくいと言えます。また、逆に、クライアントが僻地に存在し、開発会社など近くにひとつもないような状況であれば、買い手の交渉力は低く、高い単価でも通る可能性が高いです。

4.売り手の交渉力

これは、つまりPGの調達の話です。例えば、その案件の要件として特殊な開発言語を使用することが明示されているとします。そうすると、なかなかPGを見つけることが難しいです。そのような場合は、売り手の交渉力が高く、コストを下げることが難しいと言えます。逆に、PHPなど開発者人口が多い言語を選べるのであれば、売り手の交渉力は低く、コストを下げやすいと言えます。

5.競合他社との関係

例えば、クラウドワークスのような、多数の競合と敵対するのか、3社コンペなどのように最初から絞られた中での戦いなのか、などについて考える必要があります。競争が激しい方が、コストもかかり、利益も上げにくいことになります。情報があれば、コンペ相手が、バッケージメーカーなのスクラッチ開発会社なのかにより戦い方を変えたりします。


以上が「ECサイトをフルスクラッチで構築」という案件についてファイブフォース分析をしようとした場合の観点の一例です。

競争が激しくなく、自社が競争優位に立てる案件を選ぶのが良いです。
参入する前の戦略的なフェーズで選択を間違わなければ、参入後の戦術レベルのところで苦労をすることは減ります。
戦略レベルの失敗は、なかなか、戦術レベルで取り戻すことは難しいです。

さて、最後に大事な前提のおさらいです。

これは、あくまで、お客様が長蛇の列をなしていてどうしても選ばなければならないとき、という仮定の話です。
現実で選り好みをすると・・きっと、社長に怒られます(笑)

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