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04/19/14:50  技術採用戦略について

過去のブログでもたくさん書いているが弊社はLaravelを標準採用している。
その前は長い間Zend Frameworkを愛用してきた。

使い慣れたフレームワークというのはやはり開発効率に優れている。
フレームワーク自体の開発効率差と、習熟度による開発効率差を比較考量した結果、ほとんどのケースにおいては習熟度による開発効率差のほうが大きく、結果として、同じフレームワークを続ける方を選択することになる。

2011年の夏頃からフレームワークを変えたいなぁと思いつつ、
実際に変更するまでに3年間の月日を要したのには上記の理由によるところが大きい。
もちろん、内部的な根回しや雰囲気作りに時間が必要だったこともある。
誰も長年連れ添ったパートナーを否定されれば良い気分はしない。

2014年の春、弊社ではLaravelを標準採用した。
別にLaravelに変更したくてフレームワークを変えたわけではなく、
フレームワークを変えたくて変更先のフレームワークを検討した、というのが正確なところだ。

どんなに愛用している道具であっても、時が一方向に流れている以上、世界の変化の中で陳腐化していく。
2014年の春は、弊社にとってはまさにそういう時だったと理解している。

次のグラフを見てもらいたい。(クリックすると別タブで拡大表示される)




今日時点でGoogleのトレンドをとったものである。

Laravelは青色、Zend Frameworkは黄色である。

Laravelの最近の勢いは突出している。
そしてZend Frameworkの衰退も半端ない。

青い線(Laravel)と黄色い線(Zend Framework)の線が交わり、
一時的なものではなく有意な差が確認出来る時期がまさに2014年春なのである。

ちなみに、変更先としてLaravelを選択したのは、PG全員で検討して全会一致でLaravelが良いとなったからである。

あのままZend Frameworkを利用し続けていたら、もしかすると今頃はお客様にそのフレームワークを使う理由を聞かれた時に「弊社がそのフレームワークに慣れているので」としか言えず困る事態になっていたかもしれない。

少し話はズレるが、イノベーター理論というのがある。

誤解を恐れず簡単に説明すると、
新しい商品やサービスなどが出てきた時にどの段階で採用するか、
ということに関する理論である。

最初に飛びつく層はイノベーターと呼ばれる。新しいことが大好きで、全体の2.5%を構成すると仮定されている。

次に、アーリーアダプターという層がある。イノベーターほど新しいもの好きではないが、常にウォッチしていて、自分が良いと思うものは周りが追いついていなくても採用する層である。全体の13.5%を構成すると仮定される。

その次の層として、新しいものにはそれなりに慎重な多数派(アーリーマジョリティ、34%)と、さらに過半数が採用するのを見て初めて自分たちも採用する多数派(レイトマジョリティ,34%)が続く。最後に残って頑なに流されない層はラガードと呼ばれ16%を構成すると仮定される。

そして、このイノベーター理論に付随する理論としてキャズム理論というのがある。ざっくり言うと、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間には、質的な変換が起きる必要があるため、そこには簡単に越えられないキャズムと呼ばれる大きな溝がある、という理論だ。新しいものを使うことに快感を覚える人と、不安を覚える人の溝と表現できるかもしれない。

上記のトレンドだけを見ると、すでに多数派(マジョリティ)を構成しているように見える。しかしながら、トレンドとは、あくまで現時点のフローの変化なので、過去の蓄積であるストックまで考えると、Laravelはまだ多数派を形成しているとは言えないであろう。(左にある棒グラフはこの期間の平均を表しているのでそれを見てもそのように判断できる)。私の評価としては、キャズムを超えつつある=アーリーマジョリティに採用されつつある、というレベルだ。(この先が保証されているレベルではない)

経営的なスタンスで言えば、本当はアーリーマジョリティがバランスは良いと思う。守りの戦略としては悪くない。

あの時期にアーリーアダプターとして行動した我々はどちらかというと攻めの戦略をとったことになると思う。

それには、実は我々を取り巻く外部要因だけではなく、内部的な事情もあった。最初に書いたように、使い慣れたフレームワークは開発効率も良く、それらに囲まれた状態はとても居心地も良い。

人は居心地の良い状態に長くいると変化そのものを恐れるようになる。新しい選択肢自体を考えなくなり思考が停止するのだ。

正直なところ、2011年の弊社はそのような雰囲気があった。そこからみんなで変化の気運を高めていき2014年の春にようやく新しく歩み出すことを決断した。あの時期の我々には一定の爆発力が必要だったのだ。アーリーアダプターとして行動した背景にはそのような事情もある。

今後全てのシーンにおいてアーリーアダプタとして行動するわけではない。しかしながら、Laravelの採用というチャレンジを乗り越えた我々は、今後は変化を恐れることもなく、今まで以上に偏見のないフラットなメガネで世の中の技術動向を見ることができるようになるだろう。

このようなチャレンジをし成果を出した弊社のメンバーを、私は誇りに思っている。

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